ドイツ映画 (2018)
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あらすじ
写真の左端の 青色 の縦線は 現在、黄色 の縦線は 過去 の映像 。
映画の冒頭に映るのは、南アフリカのケープタウンの下町キラーニー(Killarney)地区から見たテーブルマウンテン(1枚目の写真)。そして、この映画の主人公、詩人のジョン・ガーバーがポエトリー・スラム選手権〔詩人が観客と審査員の前で朗読詩(3分以内)を披露する競技形式のイベント〕の第1ラウンドで読み上げる詩がバックグランドに流れる。映像も詩と同じで、だから、最初はそれが選手権の詩ではなく、場面の説明かと思ってしまう。ケープタウンの下町の駐車禁止の道路に、ライオンのマスクを顔に付けた2人を乗せた小型トラックが停まる。運転席から下りた男が、まっすぐ銀行に入って行く。あまりに派手な格好なので、警備員も気にしない。男は、腰に挟んでおいた拳銃を取り出して、窓口のガラス越しに拳銃を構える(2枚目の写真)。女性の係員は、札束を窓口から外に出し、男はそれをバッグに入れるとすぐに車に戻って、立ち去る。車はその地区にあるマディバズ・アボードという児童養護施設に乗り入れると(3枚目の写真)、バッグを施設長の女性に渡し、1枚の円筒状に包んだ紙を渡して掲示するよう依頼する。大金に驚いた施設長は喜んでOKする。運転している男がマスクを外すと、ジョン・ガーバーの笑顔が見える。ここで、場面は切り替わり、第1ラウンドで詩を読んでいるジョン・ガーバーの後ろ姿と、大勢の観客が映る(4枚目の写真)。参考までに、詩を紹介しておこう。詩の題名は 『ロビン・フッド』。「“盗賊の王”は、“百獣の王”の目と、獅子のように勇敢に鼓動する心を持ち、駐車禁止の標識の下に車を停め、獲物を追う。罰金なんか気にしない。王は勇敢だと、言ったの覚えてるか? 今日こそがその日、王は堂々と正面ゲートから洞窟へ踏み込む。『やあ、どうした?』とでも言い。今日は、乙女マリアンとの結婚なんて、ありえない。やるべき仕事、奪うべき預金がある。手のひらに汗が滲み、深呼吸ひとつ、マスクの下で心臓は激しく鳴る、この任務に挑むより、退職口座でも開く方がマシかもしれん。だが追放者に金利は最悪、弓矢は時代遅れ、過去の遺物から銃を引っ張り出し、『手を挙げろ、野郎ども!』。『バンザイ!』と叫ぶ、今日は給料日だ。やった、やった、なんて日だ。冗談ではなく、バットマンの相棒ロビンと同じ名を持ち、銀行が生み出した蛇どもに痛撃を与える、それこそが君の役割。ならば君は常軌を逸してはいない、真っ直ぐな道を行き、貧しい者のために盗むのだ。困窮する者のため、強欲な者から奪う。銀行を創る悪に比べれば、銀行強盗など何だというのか? 感謝など無用、金持ちから盗むことこそ王の流儀、願い、夢! 獅子の心臓が止まるまで、夢を追い続ける。それまで叫び続けるだろう。やった、やった、なんて日だ」。採点の結果、5人の出演者の中で、断トツの9.6点を獲得して、準決勝への出場が決まる。

ジョン・ガーバーは、楽屋裏から出た所で待ち構えていた警官に拘束されそうになる。ジョン・ガーバーは、階段を駆け上がり、トイレに逃げ込み、そこで持っていた用紙の中から大事な紙を探していうち、警官に突入され、持っていた用紙を全部落としてしまう。署に連れて行かれたジョン・ガーバーに、刑事のローゼンバウムは、「息子さんはどこですか?」「ロビン君はどこですか?」「彼は生きていますか?」などと質問しても、「準決勝まで進んだ」「準決勝を勝たないと」としか言わない。結果的に、留置場の独房に入れられる(1枚目の写真)。一方、ドイツの警察から通報を受けたプラハの国際空港の事務室では、係員が、ロビン失踪時から数日以内の空港内の監視カメラや(2枚目の写真)、出国者のIDを調査し、依頼したドイツの都市の警察に、「彼のID書類がありました」と報告する【問題点①】。一方、ジョン・ガーバーが入れられた留置場では、他の収監者が、「新入り見たか? ガキの殺人犯だと聞いたぞ」と話している。息子のことが心配なガーバー夫人は、留置場までやって来ると、刑事に、「あなた達が息子を見つけるまで、私をここから追い出せませんよ」と言う。刑事は、新しい情報として、「先週銀行強盗があったのです。犯人たちは、ジョンが詩に書いたようにライオンの仮面を被っていました」と告げる。夫人は、「ローゼンバウム刑事、私の息子が銀行強盗をしたと言ってるの?」。「それどころか、もっと良い話なんです。銀行は南アフリカのケープタウンにあります。犯行に及んだ “英雄” たちを、みんなが探しているんです」と言う、現地の2017年2月13日付の新聞を見せる。その見出しは、「南アの汚職銀行、覆面の自警団により裁かれる」と、すごく犯人に好意的な内容だ(3枚目の写真)。そこにやって来たのが、上司のフィッシャー課長。彼は、夫人に、「あなたは正しかった」と言うと、刑事に対し、「そもそもどうして君が見落としたかは分からんが、彼はチェコ共和国で航空券を2枚購入していた。プラハ空港だ。たった今、IDが確認された」と批判する。それを聞いた夫人は、「何ですって?」とびっくりする。「1週間前です」。刑事は、病院の監視カメラの写真を持ちながら(4枚目の写真、矢印)〔撮影日が2017年2月15日になっている→新聞の発行が13日なので美術班のミス〕、「あなたがロビン君の行方不明を報告された時、彼らは既に飛行中でした」と言う【問題点②】。新聞を見た夫人は、直感的に、「南アフリカへ?」と訊く。課長は、「先程、南アフリカ警察に連絡しました」と言うと、刑事に対し、「彼らの捜索活動を支援するため、我々が持っている情報を提供するんだ。とりわけ、彼がどこからともなくステージに現れたことについて」と指示し、部屋から出て行く。刑事は、「ご主人が息子さんを南アフリカに連れて行く理由として、何か思い当たることはありますか?」と夫人に質問する。夫人は、「彼と話さないと」と言う。

「1週間前」と表示され、マディバズ・アボードの児童養護施設で、ロビンが他の子供たちと一緒にバスケットボールで遊んでいる短いシーンが入る(1・2枚目の写真)。

小型トラックの助手席に座ったロビンは、ダッシュボードの上に “やりたいこと” を書いた紙を置き、既に書いてあった 「🔲 drive a car(運転する)」の下に、「🔲 beat mom at basketball(バスケでママに勝つ)」と追加する(1枚目の写真)〔願いが成就したら、🔲の中に✔を入れる〕。父に、「何を書いてるんだ?」と訊かれると、「バスケのことだよ」と答える。「好きなんだな?」。「僕のリストだからね、パパ」(2枚目の写真)。

父は部屋を借りる。ロビンのライオンのぬいぐるみが置かれたテーブルに座ると、詩を書き始める。すると、ロビンが、「夕食の準備ができたよ、パパ」と言う。父は、感謝もせずに、「“legend” と韻を踏む言葉は何だ?」と訊く〔"legend"(レジェンド)の語尾(-egend)と完全に同じ響きを持つ英単語はない→ジョーク〕。答えのない質問なので、ロビンは、「何を書いてるの?」と訊く。「ママへの贈り物」。ロビンは、簡単な料理の入ったボウルを父の横に持って来て、「もう千篇もの詩をもらってるよ、パパ」と言い、ぬいぐるみを奥に置く。「ママは、私の詩が好きなんだ。そうやって… パパは」、このあと、ロビンが受け継いで、「ママの心を掴んだんだろ。分かってるって」。そう言って、食べ始めたロビンが咳をする。「大丈夫か?」。「ちょっとムセちゃって」(2枚目の写真)「それで、ママは来ると思う?」。「わからん。多分」。「僕、ママのことが少し恋しいと思う」。「私も恋しいよ。だから、これを書いてるんだ。誰かのことが恋しくなると、私は書く。悲しい時も書く。そうすると気が楽になるんだ」。「それなら、僕もママに詩を書いてみるよ。今どこにいるか、書いてもいい?」。「構わんが… 秘密の暗号でな。ママにしか分からない暗号だぞ」。そして、ロビンは、ドアの方を見て、「dreamland(夢の国)」と言う(3枚目の写真)。父も振り返ってドアを見る。ロビンは、「“dreamland” って、“legend” とちょっと韻を踏んでいるよね」と言うと、“やりたいこと” を書いた紙の裏に、「For Mom(ママへ)」と書き始める(4枚目の写真)。

父の書いた母への詩。ナレーション風に音声が流れる。「伝説はきめ細かな砂の浜辺を彷徨う、誰も見つめる者のない、驚異に満ちた孤独な夢の国に沿って」。ここで、場面は変わり、1週間後の独房に。ナレーションは続く。「己の信仰と運命、彼らは自由を追い求める。伝説は決して色褪せない。希望という技術を習得するのは難しくない、この手は過ぎ去った日々を拒み、一文字一文字が永遠に生き続ける」。最後の方で、独房の扉が開き、ジョン・ガーバーは拘置所の面会室に連れて行かれる。「決して立ち止まりはしない」。ここで、2人は会話のボタンを押す。すると、ジョン・ガーバーの声が聞こえてくる。「ただ待っているよりは、何もかもが素晴らしい。永遠に」〔ナレーションではなく、ジョン・ガーバーが直接話しかけている〕。それを聞いた妻は、「ジョン! 止めて!」と言う。しかし、彼は止めない。「今も心臓が強く、爪も研ぎ澄まされているならば…」。「ジョン!」。「夢は、血管を駆け巡る引き裂かれた毒などではない」。「ロビンはどこ?!」。「道を見つけた時…」。「私たちの息子はどこなの?!」。「努力が無駄ではなかったと思えることを願う」。「彼、生きてるの?!」(1枚目の写真)。「準決勝に出場しないと」(2枚目の写真)。この、自己中心的な言葉に激怒した妻は、立ち上がると、「ジョン、私たちの息子はどこなのよ!」と叫ぶ。ここで、係官が入って来て、ガーバー夫人に騒がないよう注意する。しかし、彼女は、ますます激し、「ジョン!! 私の息子を一体何したのか、今すぐ話しなさい!!」と怒鳴り、係官から、丁寧だが断固として面会室から連れ出される。妻が最後に言った言葉は、「あんた、一生そこから出られないように祈るのね!」。その夜、家に帰ったガーバー夫人〔プロのバスケットボール選手〕が、家の壁に付いたリングネットに何度もボールを入れていると、そこにローゼンバウム刑事が現われる。夫人は、「何かニュースがあるの?」と期待を込めて訊くが、彼は、「ええと、あの… 明日の夜、何か予定ありますか?」と訊く。「なぜ?」。「準決勝のジョンを見に行くんです。もしよかったら、バックステージパス〔楽屋裏への入場証〕を2枚手に入れますよ」。憎たらしい夫の晴れ姿なんか見に行くことに何の意味がある、そんな暇があるなら夫を徹底的に尋問すべきと主張する夫人に対し、刑事は、「昼も夜もジョンを厳しく尋問したところで、彼は何も話さないでしょう。彼が詠んだ “夢の国の伝説” という言葉が、私に語りかけてくるのです」(3枚目の写真)「彼は、私たちに伝えようとしているのです、ガーバー夫人、暗号で。彼は、私たちをロビン君のもとに導いてくれるでしょう。詩こそが彼の人生のすべてだったのです」。

何もない荒れ地の真ん中を一直線に走る未舗装道路を、左右に首をふりながら小型トラックが走る(1枚目の写真)。車内では、助手席に座った父が、「あーーっ! スピード落とせ!」「道の真ん中を走れ!」「運転、代われ!」「運転する時は、ちゃんと前を見ろ!」と叫び続ける。ロビンは車を急停車させると、運転席から飛び出して、道路の横の盛り土に吐く(2枚目の写真)。父が、「ロブ、ロブ、大丈夫か?」と飛んでくる。「うん、ごめん」。ロビンは、ズボンのポケットからリストの紙を取り出すと、「🔲 drive a car(運転する)」の🔲に✔を入れる(3枚目の写真)。

父は、「もう1回やる?」と言うロビンを押しとどめると、一緒に車にもたれて座る。ロビンは、「ママが見てなくてよかった。見てたら、パニクってたよ」というが、父は、リストの紙の裏にも字が書いてあるのを目ざとくみつけ、「それ、ママへの詩か?」と紙を奪おうとするが、ロビンは 「やめてよ! まだ終わってないんだよ!」と言って渡さない。父は、「素晴らしいことだ。いつか観客の前で披露できるかもしれんな」と、そうした行為を褒め、それを聞いたロビンは、「ちょっと待って、それマジで?」と訊く。「そうとも。いつか決勝の舞台に連れていってやる」。「それってすごくクールだ」と言うと、ロビンは、「🔲 beat mom at basketball(バスケでママに勝つ)」の下に、「🔲 championship final(決勝戦)」と書き足す(1枚目の写真)。父は、「そろそろ冒険に戻ろうか」とロビンに声をかける。「僕が運転できるならね」(2枚目の写真)。ここで、2人をバックに、準決勝のナレーションが入り始める。「三十億回の鼓動。君の心のリズム」〔30億回=80歳の人の生まれてからの平均鼓動総数〕。ここから、場面は準決勝の舞台で詩を詠むジョン・ガーバーに切り替わる。「絶え間なく、規則正しく、不可逆の。人生で一度きりの、カウントダウン」。一番後ろに立って並んだ人々の何人かはスマホで動画撮影をしている(3枚目の写真)。「数え切れない鼓動が、この限られた時間を、一度きりの経験を、ひとつ、またひとつと削り取っていく。それでおしまい。三十億回の鼓動。君の心のリズム。始まりと終わりを刻むメトロノーム、だがそれまでの間、音色を、旋律を選ぶのは君自身だ。君だけが流れを紡ぎ、高低を操る。人生の交響曲」。

ここで、画面は再び南アフリカに戻り、父が運転する小型トラックの荷台に立ったロビンの姿が、後ろと斜め前から映される(1・2枚目の写真)。そして、詩のナレーションが続く。「チクタク、鼓動が時を刻む、残された日々は限られている、解き放たれて生きるのだ、穏やかな夜へと、静かに去ってはならない。時間は猫が鼠を追うように君を狩り立てる、だから人生の歩みを、走りに変えよ! 運命を揺さぶり、成し遂げたことで道を切り拓くのだ」。

場面は、海の中に入るロビンに変わる(1・2枚目の写真)。「だから鼓動に耳を澄ませ、過ぎ去っていく日々を本の章のように捉え始めるのだ、一章ごとに。叶えようとしているリストの夢を実現していくのだから」。そして、ロビンは、リストの「🔲 swim in the ocean(海で泳ぐ)」に✔を入れる(3枚目の写真)。「空気の中の潮の香りを嗅ぐのだ。そのリズムを聴き逃さぬよう、心せよ」。

道路の近くにライオンがいたので、父は車をそっと停め、2人は荷台に上がってライオンを見る(1枚目の写真)。「生きるということがいかなるものか、その香りを吸い込め」。ロビンの双眼鏡を通して見たライオンが映る(2枚目の写真)。「王の中の王。君に怖れはない。君の心臓は拍動し、破裂し、止まってしまう瞬間が来るまでは、すべてがマディバズ・アボードから始まったことを忘れるな」。ロビンは、リストの「🔲 see real lions(本物のライオンを見る)」に✔を入れる(3枚目の写真)。

ロビンと父は、山を登っていく(1枚目の写真)。「君は成長している、巨人を倒せるほど大きくなり、空を飛び、もう泣いてなどいない、疑念や恐怖にどれほど心が揺れ動こうとも、笏を手に、君は王の中の王だ」。頂上に着いたロビンは、大好きなライオンのぬいぐるみを、海に向かって掲げると、「わーっ」と叫ぶ(2枚目の写真)。「穏やかに去ってはならぬ、今こそ戦う時だ」。ロビンは、リストの「🔲 climb a mountain(山に登る)」に✔を入れる(3枚目の写真)。

池の端の草地に停めた小型トラックの荷台に横になったロビン(1・2枚目の写真)。「リストは長く、時間は残り少ない、すぐ取りかかり、追い求めよ。君ならできる、私には分かっている。チクタク、鼓動が時を刻む」。ここで、映像は、映画の中で一番古い過去に戻る。病室に横たわったロビンの周りに両親がいる。父は、ロビンが描いたライオンの絵を見ている(1枚目の写真)。部屋の端に置かれたベッドサイドモニターが、ロビンの容体を24時間体制で見守っている(2枚目の写真)。「時間は相変わらず猫と鼠の追いかけっこをしているが、この勝負において君は獅子だ、飼い慣らされぬ捕食者であり、獲物ではない。痛みも、死ぬことも恐れない」。

ここで、画面は一瞬、準決勝の会場に戻る。「人生にも、今戦っている戦いにも、まだ疲れてはいない。消えゆく光に対して、君は激しく抗う」。そして、主治医の部屋に呼び出された両親〔前節の病室のシーンよりも後〕。主治医は2人に何事かを告げる〔内容は不明〕。「鼓動の時計が、その時を告げる時。三十億回の鼓動、残り、未知数」〔「残り、未知数」とは、余命は不明という意味→これが、主治医が告げたこと→つまり、いつ死んでもおかしくはない(手は尽くした。もうできることは何もない、あとは死を待つのみ)〕。そして、母は泣き始める(1枚目の写真)。夫は、その母を抱き締める。会場では、朗読が済んだことで、拍手や歓声が起きる。ジョン・ガーバーは3人の挑戦者の中で断トツの最高得点を取り、決勝に進むことが決まる(2枚目の写真)。楽屋裏では、課長が待っている。ジョン・ガーバーはトイレに行きたいと申し出る。トイレに入ったジョン・ガーバーは、先日、逮捕された時に落としてしまった大切なリストを、家具の下の隙間から拾い上げる。外で待っている課長に、ローゼンバウム刑事が話しかける。「明日の朝一番の便でケープタウンに行きます」。バカな課長は、刑事をバカにする。「詩に惹かれたのか?」。「だって、さっき、詩の中にいっぱいヒントを残していったでしょ」。「君は、いつから詩の教授になったんだ? こんなショーは、全くのナンセンスだ。明日は、ガーバーを徹底的に尋問し、少年を見つけろ」。一方、会場で詩を聞いていたガーバー夫人に、ジョン・ガーバーの大ファンで、「白ウサギ」という彼の詩専用のブログを持っている女性が話しかけるが、夫人は取り合わない。それでも、「ジョンの詩は、実際の出来事に基づいているのですか?」「あの詩は、実体験に基づいているのですか?」「彼の詩を聴かれて、どう感じられましたか?」としつこく聴き、スマホを取り上げられ、ゴミ掃除婦の水バケツの中に捨てられる。それでも、彼女は、もう1つのスマホを取り出し、「ジョンは、男の子が気に入りそうな旅の話をしているようですね?」と訊き、「旅なんかじゃない、とんでもない誘拐よ!」とだけ言って立ち去る。

画面は、先程の主治医からの宣告の夜に戻る。そこでは、両親が夕食の時に話している。母:「また動物園に連れて行った方がいいかもね」。父:「彼が描いたライオンの絵には檻が描いてない。本当は檻があるのに、彼は檻を描かなかった」。「いわゆる、“芸術的自由” ね」。「いいや、“真の自由” だ」(写真)。話は、ライオンからロビンになり、父が 「あの病院から彼を連れ出さないと」と言い出す。母は、「彼の癌を治せるとしたら、あの人たちしかいない」と反対する。しかし、父は、「その人たちが『誰にも治せない』って言ったんだぞ」と再反論。「あの子を見捨てる気なのね」。「手の施しようがない。医者が今日そう言った。いつ最期を迎えても不思議ではないと」。母は、「その日が1ヶ月後かもしれないし、1年後かもしれないのよ、ジョン。でも、彼には次の抗癌剤治療が必要なの。私たちは何年も、次の治療、また次の治療って、望みをつないできたのよ!」。「その薬のせいで、あの子は苦しんでる」。「彼の命を危険にさらすような真似は絶対にさせない」。「まさにその通り。これは彼の命なんだ。彼の時間なんだ! この病院で最期を迎えるなんて、彼は望んでいないんだ!」。「最期の話なんて、もうやめて!」。「息子があの部屋で一生を終えるなんて、耐えられるのか?」。
そして、現時点から1週間と1日前、ジョン・ガーバーは。夜遅く、息子の部屋を訪れる(1枚目の写真)。父がベッドに腰を下ろすと、眠っていたロビンが目を覚まして、「やあ、パパ」と笑みを浮かべる(2枚目の写真)。父は、「ゲームをしよう。韻踏み(Rhyme-time)だ」と言い、「私からいくよ。“Friday(金曜日)” だ」〔この日が金曜日だった〕。「“X-ray(エックス線)”。“Boring(つまらない)”」(3枚目の写真)。「“Drawing(描画)”。“Artist(芸術家)”」。「“Wish list(願いごとリスト)”。“Sodium hydrogen carbonate(炭酸水素ナトリウム)〔点滴用〕”」。「君の勝ちだ」。「見せてあげようか?」。「ぜひ」。ロビンはお尻のしたに隠していたものを引っ張り出して父に差し出す(4枚目の写真)。「それを受け取った父は、紙を開く前に、「これ何だ?」と訊く。ロビンは、「僕、本物のライオンが見たいんだ。ここから出たら、このリストにあること全部したいんだ」。父が紙を開くと、そこには、「🔲 see real lions(本物のライオンを見る)」「🔲 travel(旅をする)」「🔲 be Robin Hood!(ロビン・フッドになる)」「🔲 swim in the ocean(海で泳ぐ)」「🔲 climb a mountain(山に登る)」「🔲 Find ‘Hope’(“希望”を見つける)」の6つが書かれている(5枚目の写真)。ロビンは、「あ、待って」と言うと、紙を取り戻し、一番上に、「🔲 flying(飛んでいる)」と書き加える。「空を飛ぶのか? カッコいいな」。

廊下に出た父は、スマホを取り出し、妻に電話しようかすまいか迷う(1枚目の写真)〔どちらを選んだのかは分からない〕。次のシーンでは、シャツの上から長袖のフード付きのセーターを着たロビンが、点滴スタンドを持って病室から出てくる〔このシーンは、ナンセンス。左の手の甲に点滴針が刺さった状態で長袖のセーターを着ることは不可能/そもそも、いつかは外すのだから、服を着る時に外すのが常識〕。ロビンは、「あれ、ママはどこ?」と訊くので、父が最初に病室に入ってから、かなりの時間が経っていることが分かる。ロビンが 「ママも来るの?」と訊くと、父は 「いや、これは父と息子の冒険だ」と答える。そして、リストを見ながら、「よし、じゃあまずは… ロビン・フッドだな」と言う。それを聞いたロビンは、「すごいや! なら、パパはリトル・ジョン〔相棒の大きなクマの名前〕だ」と言う(2枚目の写真)。2人は、夜間看護婦室の前をこっそり通ると、次のシーンでは2人の乗った車が橋を渡って町を出て行く(3枚目の写真)〔この町は、インゴルシュタット(Ingolstadt)、川はドナウ川〕〔ニュルンベルクの80km南にある町〕。

しばらく車に乗っていると、ロビンがリストの下部の白紙の部分に、「🔲 drive a car(車を運転する)」と書いたので(1枚目の写真)、父は、「車を運転する? 車を運転したいのか?」と訊く。ロビンは笑顔で頷く。「OK。運転する、ロビン・フッド、本物のライオンを見る、飛ぶ… 他には何があったっけ?」。「ううん、なんでもない…」。「おいおい、相棒を信じてくれよ。何が書いてあるんだ?」。「OK。あのね、僕、パパとママが話してるの聞いちゃったんだ。ママが、パパが希望を失くしたって言ってた。だから、僕がパパのために見つけてあげようと思って」(2枚目の写真)。父はしばらく黙っている。その時、スマホに電話がかかる。それが妻からだと分かると、父は、スマホを運転席の窓から投げ捨てる(3枚目の写真、矢印)。そして、「一緒に、希望を見つけに行こう」と言うと、左折してプラハに向かう(4枚目の写真)。

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