イタリア (2005)
①
②
③
あらすじ
映画の冒頭、病院で患者の腕にいろいろな処置が施され、最後に、心拍数、酸素飽和度、呼吸数の3つの測定値が表示される(1枚目写真)〔何れも正常な範囲内→患者は助かることを示唆している〕。場面は変わり、少年が、刑事から取り調べを受けている。刑事:「ルカ、怖がらないで〔映画の題名と同じ〕。心配しなくていい。何があったのか知りたいだけなんだ」(2枚目の写真)。ルカ:「わかんない」。「誰がやったのか、僕が理解するのを手伝ってくれないかい?」(3枚目の写真)。「やったのは…」。「うん?」。「トミィがやったんだ」。「トミィ? トミィって誰だい? トミィが誰なのか、教えてくれないか?」。「トミィは… その…」。

何の説明もないが、場面は、1週間ほど前に遡る。ルカが、母の家の前に停まったマイクラC+C〔イギリスで生産された日産の小型クーペカブリオレ〕に乗り、サンドイッチを手に、誰もいない後部座席に向かって、「そんなことない、君も来るんだ」と話しかける(1枚目の写真)。そこに、母が家から出てきて、「見つけた」と言う。「なんで化粧してるの?」(2枚目の写真)。「あなたのためにキレイにしたのよ。試合があるから。気に入らないの?」〔これから、ルカがゴールキーパーを務めるサッカーの試合を応援に行く〕。「うん」。「じゃあ、拭き取るわ」。「パパのトコで一緒に食事するって、約束したよね?」。「約束なんてしてないわ。『たぶんね』と言っただけ」〔この会話から、両親は離婚もしくは別居していることが分かる〕。「サンドイッチ、もう食べないの?」。「もう無理、試合あるから」。母が車を出すと、そのあとをフォルクスワーゲンのパサートヴァリアントが付いていく(3枚目の写真)〔この時点では気づく人はいないが、わざわざ映したことに意味がある〕。

そしてサッカーの試合がもう始まっている。会場まで送ってきたハズの母はいなくて、父が応援している。そして、「ディフェンスに声をかけろ!」と注意する。そこに、母が遅れてやって来る。「始まってまだ5分だ。どこにいた?」。「すぐそこのスーパーで買い物してたのよ」。「今、買い物かよ!?」。「今よ。さっき〔送って来た時〕は時間がなかったし、ここの近くのほうが安いの」。「今、何対何?」。「ゼロ対ゼロ」。その直後、ルカが見事にキーパーの役割を果たし、母は、「すごい、すごいわ、ルカ!」と叫ぶ。そのあと、敵のフォワードが、味方のディフェンスを抜け出したので、父は 「ダメだ!前に飛び出せ、ルカ!」と叫ぶ。しかし、前に出なかったルカは、ゴールを決められてしまう(1枚目の写真、矢印はボール)。結局、試合は0対1で負け。ロッカールームの中で、口が悪くて嫌われ者のセルジオが、「頼れるキーパーがいない限り、俺たち絶対に勝てっこない。お前は本当にザルキーパーだ」と、ルカを汚い言葉で責める。「君らがゴールの前まで来させたんだ。僕一人で全部できるわけないだろ」(2枚目の写真)。「お前、全然前に出てこんかったろ、このクズ野郎。奴らが攻めてきたら前に出るべきなのに、ビビりやがって。この、ザルキーパー」と言って出ていく〔一番悪いのは、ディフェンス陣の崩壊→つまり、セルジオの責任転嫁〕。しかし、映画の中で初めて姿を現したトミィが、「聞いたろ? セルジオの言う通り。ほんとヘタクソだ」と貶す。「そんなことない!」。「ビビりやがって。パパとママが応援してたから、緊張したんだろ」。「黙れ!」。そこに様子を見に来たコーチが、「ルカ、誰と話してるんだ?」と訊く〔トミィはルカのシャドウ(影の自己=普段は抑圧している「攻撃性」「怒り」「残酷な願望」がもう一人の自分として実体化したもの)〕。

一方、外では、父と母が激しく言い争っている。父:「車の保険、払ったのか? 払ったのかって聞いてるんだ!」。母:「さあね」。「『さあね』ってどういう意味だ。さあねだと?」。「払ってないことくらい、よく知ってるでしょ、フランク」。「(警察に)止められたらどうなるか分かってるのか?」。「お金が足りないのよ」。「『足りない』? ほぉ、そうか? 住宅ローンも、罰金(警察の)も、ルカの学校も服も、全部俺が払ってるのにか?」。「自分が払ってるもののリストをいちいち並べ立てるわけ? (それだけじゃ)足りないのよ」。「だったら仕事を探せ!」。「ルカの面倒を見ながら働ける仕事なんて、あなたが私に見つけてよ! ああ、またいつも同じことの繰り返しね」。「じゃあこうしよう。ルカは俺が引き取る。お前は月に2回会えばいい」。「その話はやめて。とにかく、保険を払うお金は私にはないの」。「だったら、お前の友達の教授にでも借りたらどうだ?」。「もうあの人には会ってないわ。前にも言ったはずよ」。「おい、俺はお前の言うことなんか、何一つ信じちゃいないんだ、ラウラ」(1枚目の写真)「お前が何してるか、分かるはずないだろ? 分かるわけがない」。「私が何をしてようと、あなたには関係ないでしょ、フランコ?」。「だが、俺の息子に関わることなら、話は別だ」。「いいわ、だったら裁判官のところへ行きましょう。ルカの親権があなたにいくかどうか、はっきりさせればいいじゃないの」。そこに、ルカが現れる。父は、「あんまり上手くいかなかったな。確かにあんなディフェンスじゃあな。ま、それはともかく、よくやった。あれだけシュート打たれたんだから」と、少し引いて褒め、母は、「ホントに最高だったわ」と褒めてくれる。しかし、ルカの訊きたいことは別なので、すぐに、「ママ、それで今夜、僕たちのトコで食事するの?」と訊く(2枚目の写真)。しかし、母は 「ううん、今夜は無理なの、坊や。友達と会うから。じゃあ、明日の夜ね。いい子にしてて」としか言わず、そのまま立ち去る。父が、ルカの荷物を持って行こうとすると、少女が寄って来て、「ルカ、また月曜日にね。ぜったいあなたの勝ちだったのに。じゃあね」と言って頬にキスする(3枚目の写真)。父は、2人だけになると、「ママは誰のトコに行くのかな? どんな人たちかな、知ってるかい?」と訊く。「ううん。ママは誰とも会わないよ。たまに、女性の友だちと会うくらい」。「それ誰だい?」。「サンドラさん。すごく感じのいい女(ひと)だよ」〔破綻した脚本の証拠となる発言〕 。

父の家での夕食。料理は父の手作り。父:「ちょっと聞くけれど、試合の後に挨拶しにきた、あの金髪の可愛い子は誰だい?」。ルカ:「ステファニア」。「可愛いね。彼女かい?」。ルカは首を横に振る。「そんなハズないだろ。学校で、顔を真っ赤にしてたじゃないか」。「みんな彼女に夢中なんだ」。「あぶない女の子だね。それで、君とは、どんな感じなのかな?」。「いい感じだよ。一緒に音楽を聴いてるんだ」(1枚目の写真)。「他の子たちとは? やっぱり音楽を聴いてるのかい」。「ううん」。「それはいい兆しだね。君とだけ一緒にやるってのが大事なんだよ。すごく大事なんだ」。ここで、ルカは話題を変える。「だったら、どうしてママが喜ぶようなことをしてあげないの? もうママのことが好きじゃないの?」。「ママのことが好きじゃないなんて、そんなことはないよ。ルカ、学校の友達で、両親が別居している子はどのくらいいるかい?」。「何人かいるよ」。「ほら、ね? よくあることなんだ」。「そうだけど、別れた後はもうケンカしないよ。一緒にピザを食べに行ったり、中には一緒に少し休暇を過ごしたりする人もいるけど、パパたち違うじゃないか」。「わかった。さあ、食事を終わらせて」。「もういらない」。「どうしてだい?」。「お腹が痛いんだ」。「お腹が痛いんならビデオでも観るかい? 新しいのをいくつか買っておいたんだ」。「どこにあるの?」。「そこにある古いビデオの下だよ。見つかったかい?」。「うん」。ルカは、ビデオの右の隙間に落ちていた犬の毛をつまんで見てみる(2枚目の写真、矢印)〔父は犬を飼ったことがない〕。次のシーンは、ビデオを観た後の歯磨きの場面。磨き終わって歯ブラシを容器に入れると、その中に見慣れない棒が入っている。取り出してキャップを回転させて引っ張ると、先端に真っ黒な短い毛が付いている(3枚目の写真)〔眉マスカラ〕〔母の髪の毛は茶色なので、黒は別人を意味する〕。

ルカの母ラウラが、働いているのは、夫に知られたら、親権不適格として裁判に利用されそうな場所。テレフォンセックス・オペレーターの一員だ。前に名前の出てきたサンドラが、「新しい仕事、見つかった?」と訊くと、ラウラは 「どれもフルタイムの仕事ばかりなの」と返事する。それに対し、サンドラは 「あたしの方は、めちゃくちゃラッキーだったわ。ほら、あたしがベビーシッターに行ってる家があるじゃない? あそこ、家族みんなで、6ヶ月アメリカに行っちゃうんだよ、わかる? それで、その間、あたしがそこに住んで、ちゃんと管理しててくれないかって頼まれちゃった。あんた、どんな家か知らないでしょ。2階建て、庭、プールが2つ」(1枚目の写真)「あたし6ヶ月もマダム気分になれるのよ」と嬉しそうに話す。場面は、ルカの父フランコの家に戻り、ベッドで横になったルカに、「明日の朝は、公園まで軽く走って行こう。どうだい?」と声をかける。ルカは嫌々頷く。「おや、どうしたんだ? 何か変だな。まだ試合のことを考えているのかい?」。ルカは 「うん、そうだよ」と嘘をつく(2枚目の写真)〔犬の毛と、黒の眉マスカラで、父は疑惑の中心にいる〕。父はお休みと言い、電気を消して出ていく。すると、真っ暗な中から声がする。トミィ:「あれが何だったか知ってるか?」。ルカは電気を点ける。「女の化粧品だ。パパのトコに女が一人来てる」。ルカ:「なんで分かるんだ?」。「パパとママは、君が女の子みたいに泣き出すから、ホントのことを言わない」(3枚目の写真)「でも、2人はお互いに大嫌いなんだ」。「そんなことない!」。「ぜったいホントだ」。「黙れよ! もう寝かせてくれ」。そう怒鳴ると、ルカは電気を消す。トミィ:「ホントだって、分かってるくせに」。

まだ、この仕事に就いて日の浅いラウラの受話器が鳴る。「もしもし?」。すぐに答えないので、「どうしたの? 照れてるの?」。太い男の声:「今晩は」。「どうも、お名前は?」。「私の名はアンジェロ〔天使〕」。「アンジェロ、素敵な名前ね」。「気に入った?」。「ええ、すごく」。「もう一度言ってみて。私の名前は何?」。「アンジェロよ」。「もう一度」。「アンジェロ」〔相手の異常さにラウラは戸惑い始める〕。「きれいな声だ。もしかして、以前会ったことは? なぜか、君を知ってるような気がする。髪はブロンドかい?」。「ええ、ブロンドよ」。「嘘はいけないな」。「あなたが望む通りの女性よ」。「私に嘘は許されない」。「分かったわ、アンジェロ、嘘はつかない。でも何がしたいのか言って。私、もうすぐ出かけるから」。「どこへ行くんだね? 家か?」。「そうよ」。「家では誰が待ってる? 君の子供だろ。私は子供が好きだ。私と同じように天使たちだから。きっと家では子供が待っているはずだ」。「いいえ、子供はいないわ。でも子供は大好きよ」。「君の子供の名前は?」。「何が望みなの、アンジェロ」。「私が言うことを全部、繰り返してほしい。いいかね。私は子供の肌が好きだ。聞こえた? 私は子供の肌が好きだ」。ラウラ:「私は子供の肌が好きだ」。「とても滑らかで、危険にさらされている」。ラウラ:「とても滑らかで、危険にさらされている」。「ほんの些細なことで跡が残り、傷ついてしまう」。ラウラがためらっていると、「続けて」と要求する。ラウラ:「ほんの些細なことで跡が残り、傷ついてしまう」。「この先は、君が続けるんだ」。「アンジェロ、私はあなたにはふさわしくないのかもしれない。もしよかったら、他の人と代わるわ」。「その通りだ。君はふさわしくない。でも、これからなっていくだろう」。そう言うと、男は電話を切る。ラウラは 「ろくでなしども」と怒る。サンドラは 「まあまあ、そう怒らない。まだ慣れてないだけなんだから」と慰める。ラウラの電話での対応や、サンドラの言葉から、ラウラがまだ務め始めて日の浅いことが分かる。【問題点①】それなら、なぜ、ルカは父に訊かれた時、「ママは誰とも会わないよ。たまに、女性の友だちと会うくらい」「サンドラさん。すごくいい女(ひと)だよ」と言うことができたのか? 【問題点②】テレフォンセックス・オペレーターの日の浅い同僚(世間に知られて恥ずかしい職業の同僚)を家に呼んで息子に会わせること自体が、ありえないほど異様。①②ともに、脚本の破綻に結び付く。そのあと、2人はインド料理の店に行き、遅い夕食をとる。1人歩いて帰るラウラの跡を車が付ける(3枚目の写真、矢印はラウラ)。冒頭のフォルクスワーゲンのパサートヴァリアントと、この追跡の2点から、電話の男との関係は消去されるが、映画は、先ほどの男が犯人だと観客に思わせるよう仕組んでいく。

昨夜、「明日の朝は、公園まで軽く走って行こう。どうだい?」と声をかけたのを踏まえ、父とルカは公園内をゆっくりと走っている。父:「体力がついてきたな」。ルカ:「チームで20分走ってるんだ」。それを聞いた父は、「勝負するか?」と訊く。「やるよ」。そして、同時に走り始める。すると、前方からリードをつけたジャーマン・シェパード・ドッグと一緒に走ってくる女性(1枚目の写真、矢印)と、正面からぶつかりそうになる。しかし、犬は、父とはすごく親しそうに見え、立ち上がって飛びつく(2枚目の写真、矢印)。それを見たルカは、「落ち着いて、降りて。そのまま。かわいいね」と、犬が気に入る。そして、普通ならありえないことなので、「パパ、この犬 知ってるの?」と訊くが、父は否定する。「なんて名前?」。犬を連れていた女性(キアラ)が、「キムよ」と教える。「遊んでもいい?」。「もちろんよ」。ルカは、「おいで、キム」と呼び、1人と1匹だけになって遊び始める。それを見たキアラは、フランコに 「どうしましょう?」と訊く。「まあいい。知らんぷりしよう」。その頃、ルカの横にはトミィが出現し、「あの女、誰だか分かるだろ?」(3枚目の写真)と謎々をかける。ルカは気づかず、キムと遊び続ける。フランコは 「彼は、洗面台で君のマスカラを見つけた」と、昨夜の出来事を打ち明ける。「ごめんなさい。何か、訊かれた?」。「いいや」。トミィも攻勢を強める。「バカみたいだ。パパはあの女、ちゃんと知ってる。分からないのか?」。キアラ:「昨日は奥さんとどうだったの?」。フランコ:「二人きりになるとすぐ、口論を始めたよ。お金が足りないって言ってるんだ」。「仕事が見つからないのね」。まだキムと遊んでいるルカに、トミィは、ルカも見ている証拠を話す。「絨毯に毛が落ちてた。あの女、犬を連れてパパの家に行ってるんだ。洗面台に化粧品を忘れたのも、あの女だ」。これで、ようやくルカも、ある意味無視してきた現実を受け入れる。そして、木の棒で、憎たらしくなったキムを叩く。叩くところは見ていなかったが、様子の変わったキムを見て、キアラは 「あら、キム!」と声をかける。父のフランコも 「ルカ、何があった?」と訊く。ルカは 「なんでもないよ。脚をひねったんじゃないかな」と誤魔化し、「パパ、家に行こうよ」と言うと、返事も待たずに歩き始める。父が 「待ちなさい。ルカ」と言っても、公園の入口のトンネルをくぐって行く。その先には一般道が走っていて、何も見ずに道路に飛び出したルカは車に轢かれそうになる。

車を運転していた背広姿の男は、ルカと、ルカをカバーした父に向かって 「おい、ちゃんと前見て歩け! あとちょっとで轢くトコだったぞ!」と怒鳴る。父は、「ここは、公園の出口だぞ、バカ野郎!」と怒鳴り返す。怒った男は車から降りて、「何だ? バカ野郎だと?! ぶちのめして欲しいか、このクソ野郎!」と言い、父の首を押さえるが、父は男の顔に強烈なパンチをブチかませる。ルカは 「もういいよ、パパ、パパ、やめて、家に行こう」と止めるが、父は、もう一発お見舞いし、男は、口の周りから出血し、道路に片膝をついて父をにらむが、怖くて何もしない。父は、ルカを連れて車まで行き、助手席に乗せると、運転席に座るが、男を殴った手が痛むので手をかばいながら、「怖かったか?」と訊く。ルカが頷くと、「パパもだ。ルカ。後で恥ずかしくなるようなことを、人は時々やってしまうんだ。分かってる、こんなコトやっちゃいけないって分かってるんだ。すまない。君の前でやるべきじゃなかった。もうやらないって約束する」と謝る(1枚目の写真)。ここからは、母の家。母:「どうしたの、こんなに早く? 何かあったの?」。父:「いや、何でもない、何でもない」(2枚目の写真)「ちょっと男と揉めてな」。「どういうこと?」。「男が、ルカを轢きそうになったんだ」。そう言うと、父は、ルカの頭を撫でて、「怖かったよな?」と言う。それに対する母の返事は、「そう、分かったわ」の一言。父:「どういう意味だ? 分かったって」。「なんでもないわ。着替えてきて。ルカ、行きなさい、汗びっしょりじゃない」。「何が分かったんだ? 一体何が分かったって言うんだ!」。「落ち着いて、お願い」。「落ち着けだと、ふざけるな!」〔この一連の会話も、不自然。①「男が、ルカを轢きそうになったんだ」と訊き、ルカに、「怖かったでしょう」の一言も声をかけない母は失格。②父が、妻の「分かったわ」に拘るのは、キアラとの関係がバレていないかの心配だと思われるが、そんな可能性はないはず〕。口論は続き、ルカは、自分の部屋でサッカーボールを壁に投げては、声が聞こえないようにしている。すると、トミィが現れ、壁の反対側でボールを奪う。ルカ:「返せよ」。トミィ:「やだね、返さない。サッカーは男の子の遊びだろ。君は、人形で遊んでりゃいい。パパがあいつを殴った時、君はバカみたいに泣いてただろ」(3枚目の写真)「パパは正しいことをしたんだ。もっと激しく殴れ、歯を全部へし折ってやれって言うべきだったんだ。パパはかっこいい。僕もパパみたいにかっこいい」。ルカ:「うるさい、ボール返せよ!」。「やだね。もういいや、あいつらの話を聴こう」。

父:「いつもこうなるわけじゃない。だが、あのクソ野郎はもう少しでルカを轢くところだったし、ルカの前で俺を侮辱したんだ。俺にどうしろって言うんだ?」。母:「何も。大正解だったわよ、フランコ。私でも同じことをしたわ」。父:「馬鹿にされて黙ってられるか、クソが。君は息子の前で、一度も悪いことをしなかったとでも言うつもりか?」(1枚目の写真)「君が男を作ってすべてを台無しにした時、息子のことを考えてたか?」(2枚目の写真)。母が静かに、「気が済んだ?」と訊くと、父は、そこらへんに置いてあった洗濯物を投げ飛ばし、荒々しく 「あぁ、気が済んだよ!」と言って、母の家から出ていく。父フランコが向かった先は、当然、キアラの家。余分な会話を省くと、キアラは、「ずっとああしたかったんでしょ? 誰かの顔をぶん殴って、ボコボコにしてやりたかった。違う? 一体どこからそんな怒りが湧いてくるのよ」と、今朝の暴行のことを批判する。フランコ:「自分の家でもない家のローンを払い、もう妻でもない女に金を送り、息子にとってはただの他人になろうとしてるんだ。十分な理由だろ、キアラ?」と本音を打ち明ける。「いい加減に落ち着きなさいよ。どんな裁判官だって、父親に親権なんか渡さないわ。母親に非があったとしてもね」。「そうとは限らん。これ以上 失敗しないよう気をつけないといけないな」。「『失敗』? 私の化粧品を息子に見つけられて、オロオロするような『失敗』のこと?」。「いいか、もし妻に君の存在がバレたら、ルカを取り戻すなんて夢のまた夢になる。弁護士にもはっきり言われた。分かってるだろ?」。「弁護士ね。はいはい。じゃあ、全部 弁護士の言う通りにすればいいじゃない」。「でも、ルカだって心の準備ができてないんだ、別の女性がいるなんて。だろ、頼むよ」。「弁護士、ルカ、あなたの奥さん… ねえ、他にも私がこの世にいなきゃいいのにって思ってる人、いないわけ?」(3枚目の写真)。「分かってる、君が正しいよ。だけど頼む、頼むから、理解してくれ」。そう言うと、フランコは何度もキアラにキスし、彼女も受け入れる。

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