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Lad: A Yorkshire Story ヨークシャーの少年

イギリス (2013)



映画の舞台となった、左からオーストウィック村、ノーバー漂礫岩群、ドライ・リッグ硬砂岩採石場、フォアデール、アーコウ硬砂岩採石場

上の写真の の部分にあるフォアデール旧石灰岩採石場の労働者用連続住宅

以前、『Billy Elliot the Musical Live(ビリー・エリオット/ミュージカルライブ)』の時に、ヨークシャー方言を博多弁で紹介したので、ここでも博多弁を使用する。

あらすじ

トムが、「もし、兄しゃんがノーバーにおらんやったら、どげんしよう(どうしよう)?」と言うと、母は、「どげんね(どうかな)、ばってん(でも)行くついでに、父しゃんの弁当 持って行っちゃって(持って行ってあげて)」と言う。もう、外で靴を履いていたトムが、「もう…」と言いながら、走って弁当を取りに行くと、靴のままだったので、「こん小悪魔、あちこちに泥ば撒き散らして!」と文句。トムは、弁当の入ったポリ袋を持って自転車で家を出る(1枚目の写真、矢印)。トムは、ドライ・リッグ硬砂岩採石場の処理・選別プラントの間を抜けていく(2枚目の写真)。トムの兄ニックは、少し年上の裕福な青年の子分になってノーバーにいる。ボスの方は、ライフル銃を自慢そうに持っている。そこに、トムが走って来て、遠くから 「ねえ、待ちんしゃい(待ってよ)!」と叫ぶ。ボスにとっては予想外のことなので、「なんてこった、ニック、あいつ何しに来たんや?」と訊く。ニックは、「知らんばい。なんも話しとらん」と誤魔化す。ボスは 「じゃあ、どげんして(どうやって)、ここにおるって分かったんや? お前が教えたっちゃろ?」と非難すると、「お楽しみは終わりや」と言ってライフルをニックに渡す。そこにトムが到着し、「やらしぇんしゃい(やらせてよ)」と言うが、ボスは トムには「おいチビ、消えれ」と言い、ニックには 「あっちへ行かしぇろ」と言う。ニックは、さっそく「彼が正しか、家に帰れや」とトムに言うが、こんな遠くまで約束通りに来たトムは、「約束したやないか」と動かない。ボス:「お前、なん約束した?」。ニック:「なんも」。トム:「化石掘りに連れてくって約束したやないか」(3枚目の写真)。ニック:「明日 連れてってやる」。トム:「不公平や。そん銃どこで手に入れたか、父しゃんにバラしちゃあ(バラしてやる)」。それを聞いたボスは、「何やと? おやじに言うんやなかぞ」と強く言う。トム:「分かった。しぇめて見らしぇんしゃい(せめて見させてよ)」。ボス:「見張り番ばやれ。誰か来たらおらぶったい(叫ぶんだ)」。「見とられんやんか(見てられないじゃないか)」。「見張りか、なんもしぇんかや(何もしないかだ)。おらぶっつぉ(叫ぶんだぞ)」。

そばで見ていることを諦めたトムは、「分かった」と言って岩の間を登って行く(1枚目の写真)〔周囲には、ノーバー漂礫岩群特有の風景(石灰岩台地の上に、黒砂岩が転がっている)が見られる〕。その間に、ボスは何かし始めるが、何をしているのかは映らないので分からない〔多分、トムから見えない所に逃げて行った〕。次のシーンでは、先に家に戻ったニックが玄関の前で靴を脱ぎ始めると、父は玄関の中から 「家ん中に泥ば持ち込みなんな(持ち込むな)。母しゃんがはらかくくさ(怒るぞ)」と注意する。「そげんことしぇんばい(そんなことしないよ)」。「弟にも、そうしゃしぇろ(そうさせろ)」。「ここにはおらんばい(いないよ)」。「山頂に置き去りにしたんやなかやろうな(ないだろうな)?」。「一緒じゃなかった」。「ニック!」。兄は、靴を履き直し、トムを探しに行く。点々と黒砂岩が残る台地を、兄は、「トム!」。「トム、お茶ん時間や、来いや」と呼びながら歩いて行く(2枚目の写真、矢印)。すると、大きな黒砂岩の後ろに隠れていたトムがいきなり現われ、「たまがったろ(驚いたろ)」と言う。「びっくりしゃしぇりなんなや(びっくりさせるなよ)、トム。こげんトコで何しよーったい?」。「忘れたと? 見張りばしとったんやないか(見張りをしてたんじゃないか)。ショーンは行ったと(行ったの)?」(3枚目の写真)。「ああ」。「良かった。あいつがおると、兄ちゃんいつも僕に意地悪やけん」。「そげんことなか」。「いつだって僕ば追い払おうとする」。「よかもん見つけたんや」。「なん?」。「言えん、秘密や」。「信じんばい」。「勝手にせれ(勝手にしろ)」。「じゃあ教えんしゃい(教えてくれよ)」。「秘密ん隠れ家ば見つけたんや」。「明日連れてってくれる?」。「ああ、よかくさ(いいぞ)」。

その日の夕食の時間。母は、ニンジンだけ残したトムを見て、「ニンジン食べんしゃい」と注意する。「効果なかよ」。「なんのこと?」。「いつも言いよったやなか(言ってたじゃない)、食べりゃあ視力1.0だって。ばってん(でも)違うた」(1枚目の写真、矢印)。ニック:「俺は、1.0だぞ」。トム:「黙っとってな(黙っててよ)」。ここで、父が 「あ、そうそう、これ見つけたったい(これ見つけたぞ)」と言って、ポケットから何かを取り出してトムの前に置く。トムは、「わあ、すごか。採石場で見つけたと?」。「ああ、よか場所やろ」。「アンモナイトやね」(2枚目の写真、矢印)。「今度店に行った時に鑑定してもらおう」。トムは、父と同じで、化石や岩石が大好きな子だが、ニックはまるで興味がない。そこで、「たかが化石やないか」と暴言。母は、「うちらみんな化石が好いとーもんね(好きだものね)、そうやろう?」と言って、丸く収めようとする。頭をテーブルに伏せたニックを見て、父は、「惨敗やな」と言ってニヤニヤする(3枚目の写真)〔父が登場する最初で最後の場面〕

翌日、約束通り、ニックがトムを秘密の隠れ家に連れて行く。廃棄された建物かと思ったら、そこは、今も誰から時々来るような小屋(1枚目の写真)。こうなると、家宅侵入だ。ニックは、テーブルの下からビンをつかむと、「ビールでもどげん(ビールでもどう)?」と言って、トムに見せる。「そげんのいけんばい(そんなのダメだよ)」。「あっそう、別にいらんならよかばってん(いいけど) 」。「いらんなんて言うとらんばい(言ってないよ)、もらうばい 」。そして、飲んでみて、「よかね」と笑顔になる(2枚目の写真、矢印)。「お前にサプライズがあるくさ(あるぞ)」。トムは 「サプライズ?」と期待する。兄は、入口の反対側にある机の後ろの棚から巻いた紙を取り出し、「ただん雑誌や」と言うと、いきなり、オールヌードの写真のページをトムの目の前で拡げ、トムは笑いながら顔をそむける(3枚目の写真)。「それなんなん?」。「ビーバーしゃ。極上んビーバーばい」〔beaverのスラングの意味は女性器・陰部だが、そんなことをトムは知らない〕。「やめんしゃい(やめてよ)、ほんなこつ(ホントに)。変なもん見しぇんとって(見せないで)」。

トムも参加してサッカーの試合が行われている(1枚目の写真)。母が、「行け! 行け!」と叫んでいると、駐車場にパトカーが入ってくる(2枚目の写真、矢印)。パトカーから降りた男性と女性の警官が母の方に向かって歩いて行く。そして、女性警官が 「プロクターしゃん、少しよろしかと?」と声をかける。「何やろう(何でしょう)?」。「こちらへ来ていただくるね(いただけますか)?」。「無理ばい。息子がサッカーしとーけん。なんね(何ですか)?」。「悲しかお知らしぇがあるばい」。ここで、カメラは切り替わり、試合の様子を映す。そして、ボールをうまく奪ったトムが、そのままゴール近くまで行く、シュートしたボールがキーパーをかすめてゴールする(3枚目の写真、矢印はトムとボール)。やったとばかりに笑顔になったトムは、大きな泣き声を聞き、一ヶ所に固まった観客の方を見る(4枚目の写真)。すると。母が芝の上に座り込み、男性警官に抱かれて泣いている。そして、「トムはどこ!」と叫ぶ。「息子ば連れて来て!」。コーチがトムの肩を抱いて母の方に連れて行くと、母がトムの方に走って来る。そして、トムを抱き締める(5枚目の写真)。

母、トム、ニックの3人は、家の裏手の丘に向かって歩いていく(1枚目の写真、矢印は母とトム)〔ニックは少し離れている〕。丘の上まで来た母は、火葬にした夫の遺灰を、働いていた採石場に向かって投げる(2枚目の写真、矢印は分かりにくいが “撒かれた遺灰”)〔ここでもニックは少し離れている〕。3枚目の写真は、逆方向から取られたクローズアップ。

翌朝、母は、トムのお昼の簡単な食事を、バッグに入れながら、朝食をちっとも食べないトムに、「トム、たいがい(いい加減)にして」(1枚目の写真、矢印)「うち(私)まで遅刻してしまうやろ。早うして。仕事ん前に銀行に寄らないかんっちゃけん(寄らなきゃいけないんだから)」と注意する〔いつから母が働いているかは不明。彼女は村で唯一のコンビニで働いているが、もし夫の死後に生活費のために働き始めたらとしたら、こんな閑散とした村で よく仕事がみつかったと思う〕それを聞いたトムは、「ニックには、こげん文句ゆわんのに(こんなに文句言わないのに)」と不満を漏らす〔兄のニックの姿はどこにもない。そもそも彼が何をしているのかすら分からない〕。母:「トム、お願いやけん」。「ただ言うただけばい」(2枚目の写真)。「よかばい(いいわ)、食べんなら抜きね。しゃっしゃと(さっさと)準備して。あんたがぐずぐずしたしぇいで、遅刻なんてじぇったい(絶対)ごめんやけん!」そう言うと、トムのバッグを手に取り、「行くばい!」と強制する。それから、トムのいろいろな姿が、5秒くらいずつ映され(3枚目の写真はそのうちの1シーン)、バックグランドに校長が母に話す言葉が流れる。「言うまでもなく、現在トムがどれほど困難な状況にあるかは、学校側としても重々理解しております。身内の喪失というものは、当然ながら心身のバランスを崩すものです。そしてトムの場合、学業に支障が出ていることも当方で把握しております。授業を妨害するような事例もありました。だからこそ、我々が連携し、トムに規律と安定した環境を提供できるよう最善を尽くすことが極めて重要なのです」。

ここで場面は校長室に変わり、最後の言葉が、母に告げられる、「残念ながら、こうした不登校は、トムが抱く孤立感や精神的な脆さを深める結果にしかなりません」。母が校長室から出て来ると、前の廊下でトムが座って待っている。母は、校長に「分かりました、ありがとうごじゃいます」と言うと、トムに「行くばい」と声をかけ(1枚目の写真)、校舎から出て行く。そして、車に戻ると、「ごめんね、トム。あんたとニックにとって、これがどれだけ辛かことかは分かっとー。ほんなこつ(本当に)、こげん状況じゃなかりゃあよかったっちゃ(なければよかったって)思いよー。信じて、ほんなこつそげ思いよーと(本当にそう思ってるの)。ばってん(でも)、あんたもうちば(私を)支えてくれな困ると」(2枚目の写真) と話すが、助手席に座ったトムが窓の外を見ている(顔を背けている)ので、「トム、うちん話ば聞きんしゃい。あんたとニックがおってくれな、お母しゃん やっていけんと。ほんなこつ(本当に)無理なんよ」と必死で言う。トムはようやく母の顔を見ると、「分かったっちゃん(分かったよ)、母しゃん。学校しゃぃ行くばい」と言う。しかし、エンジンがかからない〔父が、死ぬ少し前に、独力で修理していたが、プロではないので再度故障した〕。2人は車から降り、家まで歩いて行く〔この車は二度と出て来ない。放置はできないので、捨てるにせよ何かしたハズだが、説明は一切ない〕。学校から家までは結構遠いので、次に映る労働者用の長屋住宅が映る頃には夕方になっていた(3枚目の写真)。この写真と、解説で用いた写真の建物とは同じもの。上から見下ろすか、下から丘と一緒に見上げるかで、この場所の雰囲気がかなり違って見える。

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