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Wrath of the Titans タイタンの逆襲

アメリカ映画 (2012)

ジョン・ベル(John Bell)が、『虹の輝き(A Shine of Rainbows)』の次の次に出演した映画。2年ほどの間があるので、かなり成長している。この映画は、ハリーハウゼン(Ray Harryhausen)の『タイタンの戦い(Clash of the Titans)』を再映画化した同名作品の続編。主演のペルセウス役は、サム・ワーシントン(Sam Worthington)で、今回新たに登場する一粒種ヘレイオス役でジョンが出演している。最初と中間と最後に登場する重要な脇役で、ふにゃっとして弱々しかった前作とは全く違い、かなり逞しい少年だ。そういう意味では、『ホビット(The Hobbit)』三部作でのベイン役と相通じるものがある。

前作の『タイタンの戦い』は、ペルセウスの神話とかなりかけ離れた内容だったが(そもそもクラーケンはバイキングの創造物でギリシャ神話と関係ない)、『タイタンの逆襲』はクロノスが暴れ出すという、さらにあり得ない設定。先行する『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』の影響を多分に受けている。だから、これをギリシャ神話の映画化と思ったら大間違い。単なる娯楽作品だ。映画の方は、ゼウスが息子アレスの反逆により、タルタロスの牢獄に捕らえられ、それを救おうとするペルセウスを話だ。漁師としての平和な生活を離れ、タルタロスに潜入し父を助けるが、その時にはクロノスは復活してしまっていた。アレスを倒し、三神器の槍でクロノスを倒すペルセウス。ジョン・ベルが演じるヘレイオスは、漁師の村と神殿への訪問、アレスとの戦い、クロノスを倒し新たな旅立ちの3ヶ所で登場する。

この映画のジョン・ベルは、汗と垢と汚れであまりきれいな顔とは言えないが、実際は演技力のあるハンサムな子役だ。ところで、古代の歴史劇に子役が登場することはほとんどない。『最後のローマ軍団(The Last Legion)』で主役のローマ皇帝を演じたトーマス・サングスター(Thomas Brodie-Sangster)は例外中の例外だ。


あらすじ

映画は、ペルセウスがヘレイオスに網の投げ方を教えている場面から始まる。小屋に戻ると、ヘレイオスが木のナイフの仕上げをしている。「どこで手に入れた?」。「自分で作った」。「お前が作ったって?」。ヘレイオスは、こんなことも口にした。「いい神になって、いいことをしたい」。「いい神なんて、いないぞ」。「少しはいるさ」。「なあ、ヘレイオス、夢みたいなことより、生きることの方が大切だ」。かつての勇者ペルセウスとは、とても思えない言葉だ。その夜、十数年ぶりにゼウスが現われ、よく寝入るヘレイオスの傍らで、「お前の助けが借りたい」と言い出す。人々の信仰が薄れ、神々の力が弱まり、タルタロスに封じ込められているクロノスが逃げ出すと世界が破滅すると言う。しかし、ペルセウスは「私に何をしろと? これは神の仕事では」とつれない。我々は力を合わせなければとの言葉にも、「息子とは離れません」。そして、最後の口説きにも「もう行かれては」。この言動を、すぐにペルセウスは後悔することになる。
  
  

次のシーンで、ゼウスは、ハデスにそそのかされたアレス(ゼウスの息子)に裏切られ、タルタロスにつながれてしまう。こうした反乱の証はすぐに現れる。村をキマイラが襲ったのだ。ライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持ち、火炎を吐く怪獣である。わが子を守るため、漁師として平凡に暮らす亡き妻との誓いを破り、キマイラと戦い鎖で縛って殺す。傷を負った父を心配そうに見るヘレイオス。傷を手当しながら、ヘレイオスの育ての母がペルセウスを諭す、「あなたは、今 何が起きてるいかを感じ取っているはず。神の子だから」。「息子には父親が必要だ。妻にも誓った」。「ヘレイオスに剣をふるわせないと誓い、ただの漁師として暮らしてきた… 平和な時なら、それでいいわ。でも、あなたの力は、義務でもあるの」。
  
  

この言葉に押され、息子を連れてゼウスに会いに行くペルセウス。「どこに行くの?」。「父と話がある」。神殿が半分崩壊しているのに驚く2人。しかし、さらに衝撃的だったのは、瀕死のポセイドンから父ゼウスが捕らえられたと聞かされたこと。ポセイドンは神器の三叉の矛を息子アゲノールに渡せと言って死ぬ(金の塵となる)。
  
  

自らの使命を自覚したペルセウス。旅立ちにあたり、ヘレイオスが木のナイフを「僕の代りだと思って」と渡す。ペガサスが十数年ぶりに現われる。そばに行かされ、びくびくしながら触わるヘレイオス。それでも、父は「気に入られたな」と優しい。ペガサスに乗って飛び去るペルセウス。あまり上手な乗り手ではないが。
  
  

ペルセウスは、かつて知ったるギリシャの女王に会いに行き、捕らえられていたアゲノールに一番速い船を与えてもらう。そして、タルタロスの秘密を知るヘパイストスを説得し、タルタロスに潜入する。ヘレイオスに関係ないので、タルタロスの遠望と、内部の動く迷路の写真を載せる。この後、鎖に繋がれた父を解放するが、すでにその力の大半はクロノスに吸い取られてしまっていた。父の申し出を拒んだことを悔やむペルセウス。最後に「でも、どうしても息子のことが心配でした」とポロリと漏らした言葉に、ゼウスが「なら、息子のために戦え。覚えておけ、三神器の槍でしかクロノスは倒せぬ」とくくる。
  
  

しかし、ペルセウスの手元には2つの神器しかない。3つ目のゼウスの雷を持っているのは父を裏切ったアレスだ。アレスはかつて「我々は同格ではない」と弟であるペルセウスを軽蔑したことがある。そこで、ペルセウスは兄アレスに向かい、それが正しいか戦って証明しろと迫る。決闘を受け入れるアレス。ペルセウスが神殿に行くと、アレスがヘレイオスを捕まえている。「その子を傷付けないでくれ」。「そんな気はない。相手はお前だ」とアレス。さらに、「この子には、目の前で父親が殺されるのを、じっくり見せてやる」と言ってヘレイオスの額に口づけをする。そして、壮絶な戦いが始まった。軍神アレスの方が圧倒的に強い。しかし、瀕死の父を見ていたヘレイオスが剣を構えたのに一瞬目を取られた隙に、ペルセウスは姿を隠し、物陰からアレスを襲ってヘレイオスの木のナイフで鎧の隙間を刺す。
  
  

そして力が弱ったところで、神器ゼウスの雷を奪ってアレスを刺し貫く。その瞬間に走る稲妻。一方、外では、巨大なクロノスがタルタロスを破壊して姿を現わし、ギリシャ軍に向かって火焔を浴びせていた
  
  

ヘレイオスの助けを借りて、3つの神器を合体させ、三神器の槍を作るペルセウス。凄まじい光だ。そして、その槍を持ち、ペガサスに跨り、クロノスに向かっていく。映像がなかなか美しい。
  
  

三神器の槍を喉に打ち込まれたクロノスは爆発して消滅。しかし、ゼウスは力を使い果たしてしまっていた。「神々はもういない」「力は賢く使え、ペルセウス」「ありがとう、息子よ」と言うと、金の塵となって消えてしまう。戦勝で賑わう軍団。ヘレイオスは女王と面談後、アゲノールに呼ばれる。「俺はアゲノールだ」。「ヘレイオスです。あなたのことは、“大いなる失望”だって聞きました」。「そうとも、大人物だからな」。そして、手当てしてくれる女性を紹介する。この時のくしゃっとした笑顔が、ジョン・ベル特有のもの」。
  
  

力を持つ半神としての責任を自覚した父。息子が、「もう家に帰りたい。うんざりする漁師だって構わない」と口にした時、「もう家には戻れない」と言う。そして、剣を出し、「これを取れ」と差し出す。動かない息子。「お前はヘレイオス。ペルセウスの子にして、ゼウスの孫だ」。そして剣を近づけ、さらに「受け取れ」と迫る。剣を手にしたヘレイオス。思わず、「重いや」。「ああ、重いぞ」と父。「だが、重すぎるか?」。ヘレイオスは決然と「いいえ」と答える。半神の子としての自覚。それを嬉しそうに見つめるペルセウス。
  
  

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